国風文化の形成は遣唐使廃止とは関係がありません
こんにちは。
今までおもに映像用にプリントをアップしていましたが,
中学社会科の話題も書いていくことにします。
中学社会は本当にどんどんと教科書が書き換わります。
自分も正直全部の変化についていけていないと思います。
したがって,間違えたことを教えてします危険性が高いですし,
今まで教えていて,学校で間違えたことを教わっている生徒が多数いたことも事実です。
学校を批判したいわけではなく,もちろん塾の先生でも間違えたことを教えている先生は数多いと思うわけで,僕も例外ではない可能性も高いわけで,
変更点について,情報公開,共有できればなあ,というのが目的です。
まずは,国風文化について。
昨年使用した塾教材でテスト形式のものに,
「国風文化が形成されたが,これのきっかけとなった対外関係の変化を説明しなさい。」
というような問いがありました。
これは作問ミスで,答えはありません。
生徒の多くが「遣唐使の廃止」,正確?には「遣唐使が廃止されて中国の文物が日本に入ってこなくなったから。」を答え,模範解答もそうなっていましたが,
今の教科書には,そうした記述がありません。
昔はこのように教えられていたのですが,今では学説が変化し,(昔の教科書がないので正確にはわかりませんが)教科書からもこうした記述が消えたものと思います。
このあたりに詳しく書かれています。10年以上前のものと思われます。
文教大学 早川明夫先生の論文
http://www.bunkyo.ac.jp/faculty/kyouken/old_web/bull/Bull15/hayakawa.pdf
かいつまんで書くと,
・国風文化の発生と,遣唐使の廃止は時期がずれている。
・遣唐使廃止後も中国商船は日本に来ており,大量の文物が中国から流入していた。
これは古い論文なので,今の教科書はもう少し変化しています。
中国風の文化が消化されて,日本の風土や日本人の感情にあった文化が少しずつ形成されていった,というのが正しいところでしょう。
では。
2018/10/11追記
遣唐使「廃止」というのは間違いで,正しくは「停止」です。
お詫びして訂正いたします。
また,遣唐使停止と国風文化の形成とは関係がないことには変わりがありません。
申し訳ありませんでした。
訂正記事
https://shigakuseminar.hatenablog.com/entry/2018/10/11/150153